先日はドラムについてあーだこーだ書きましたが、ドラムに限らず、その楽器を実際触ることによってより説得力のあるパートを作ることができる、というのは概ね同意していただけるかと思います。
でも、なぜか歌に関してだけちょっと別枠に入れられてる気がします。一番大事なところなのにね。なので、歌うとこんなにいいことがあるよーという話。
タイトルではDTMerと主語を大きくしましたが、いちおうギタリストで歌メロ作るけど歌は全然、とかボカロやってるけどなんか思うようにいかない、とかそういう人向けです。もちろんバンドの作曲者も。
①メロディが自然になる
自然とはなんぞやというところは議論の余地が大いにありますが、「歌のためのメロディ」と「器楽的なメロディ」という方向性はあるなと思います。このへんの話はまた別で書きたいので広げませんが、歌ったことがないと器楽的なほうに寄りすぎる傾向があるので、ボーカリストの視点も持つとなお良いよ、という話。
まず結構あるあるなのが、息継ぎのための休符がない、というもの。
MIDIで歌のメロディを打ち込んでいくと、音が埋まっていないと不安になったりして埋めてしまいがち。2小節に1拍は休符を作る、とか決めちゃってもいいんですが、一度、鼻歌程度ではなく本気で歌ってみるのをおすすめします(場所さえなんとかなればこれができるのが他の楽器とは違ういいところ)
次に、音域問題。これも、ギタリストが作ると自然に2オクターブ超えちゃってることが多いのですが、1オクターブ半くらいにおさめたほうがまとまりは出ます。そもそも2オクターブの音域を歌いこなせるボーカルってそんなにいません。せいぜい地声で
・「出ることは出る」が2オクターブ
・「歌で使えないことはない」が1オクターブ半
・「気持ちよく歌える」は1オクターブくらい
だったりします(個人差は結構あると思うけど)
じゃあ裏声前提で作ればいいじゃん、という声も聞こえてきそうですが、それはそれで「高音域が柔らかい」前提のメロディになるので、全て地声と同じイメージでは作れないかなとは思います。
②アーティキュレーションを踏まえて完成形をイメージできる
息継ぎのところで「MIDIで歌のメロディを打ち込んでいくと、音が埋まっていないと不安」と書きましたが、アーティキュレーションが念頭にあれば、不安じゃなくなるかもしれません。
シンセメロにすると単調なメロディでも
・始まり方(子音/アタック音の出し方)
・伸ばし方(ビブラート等)
・終わり方(フォール等)
・リズムのとり方(細かくとるか大きくとるか)
・発声の種類(体のどのへんにアテるか)
などなどがどういうバリエーションがあるか知ることで、不安にならずより具体的なイメージを持って曲を完成させることができます。
ていうかストリングスでやドラムでエクスプレッションやベロシティ触るための研究を歌でもしましょってことです。
余談ですが、海外の歌姫系(ホイットニー・ヒューストンとかマライア・キャリーとか)のヒット曲にサビロングトーン系が多いのってこういうことかもしれないですね。メロの起伏よりもロングトーンを優先してアーティキュレーションの妙を聞かせようという。エンダアアアアアアアアアアとかさすがにただ伸ばしてるだけじゃもたないですよね。
③ボーカリストのしんどさがわかる
例えば、音域がmid1E~hiAの男性ボーカリストがいたとします。音域がhiAだからといっても、次のようなメロディは結構しんどいです。
①で出てきた「器楽的なメロディ」とはこういうのを指してます(音の跳躍が多ければなお器楽的)
使える音域内のちょい高めの部分だけを延々と使い続けると、ボーカルは死にます。
さらに、高い音が表拍に来ていますね。表拍に「置きに行く」としんどいです。
それよりこういうメロディのほうが生き生きと歌ってくれます。
基本は音域の真ん中あたりを使いつつ、1ポイントで高い音を使ってます。
高い音は裏拍に置き、その前に「タメ」の休符を置いています。
「ちょっとずっと高い」より「一瞬めっちゃ高い」のほうが断然ラクなのです。
そしてその高い音を出すときは、いきなりではなくタメがあると出しやすいです。
あと大切なことなのですが、この話はメロディの良し悪し自体とは関係ありません。
器楽的なメロディの最高峰として小室哲哉さん浅倉大介さん本間昭光さんを勝手に御三家と呼んでいます。TMR西川さんもポルノのアキヒトさんもずっとあのタイプのメロディ歌い続けてるのただただ尊敬します。
ボーカリストはしんどいメロディを歌えるようになってレベルを上げるという側面もありますが、作曲者はボーカリストが歌える現実的なラインを知るというのも大事です。
④コンペで仮歌を人に頼む必要がない
個人的にいちばん得してるのはここです。でも男性ボーカルの案件って女性に比べ少ないんだな~。
いくつかの補足
ボーカル論って本当に人それぞれなのであんまりわかってもらえないかもしてませんが、僕はこう思うということでここはひとつ。
でも歌って結構才能で語られることが多いし他の楽器よりは個人差大きいのは当然だと思いますが、本当は他の楽器と同じくアーティキュレーションとか歌唱法とか、こういうのがベタっていうのがあると思うんですよね。
ボカロはもう独自の文化と歌唱法(調教法)が出来上がってるのであまり関係ない話かもしれませんが、人が歌ってるように調教しようとすると、結局歌ってみるのが早い気がします。
僕もその昔ボカロpだったことがあるんですが、途中から自分で歌ったほうが楽しいってなってそれから触ってません・・・極めたらもっと楽しいんだろうなーと思いつつ。
個人的な話をすると、僕は最初歌全然聞けたもんじゃなかったのですが、20歳で習いに行って週一でヒトカラしてたらやっぱりうまくなりました。3年くらいしたら音域の上限は5度くらい上がりました。(ちなみに「出る音域」がの広がるスピードに比べて、「使える音域」「気持ちよく歌える音域」の広がり方はかなり遅かったです。8年目くらいでやっと差が縮まってきたかなという感じ)
ついでのちょっとした宣伝
男性の仮歌って少なそうだし、1曲ワンハーフ3500円(応相談)くらいで言うてくれたらやりますぜ。地声の音域は上はhiDくらいまでなら出ます。逆に裏声多用する感じは苦手です。
白の無地の新作からサンプルとして一部放出しちゃおう(サービスサービス)↓
「量子コンピューターおじいちゃん」
「渚のキス」
マイク:Blue Bottle Rocket Stage1 (B8)
マイクプリ:GRACE DESIGN M101
にKAOTICA EYEBALL被せて録ってます。
量子コンピュータおじいちゃん。。。。
僕のパワーワード単語帳が一行増えました。
違ってたり隠してはったらごめんなさい、ゴリラの絵描き歌歌ったことありませんか?
あらどうも。ゴリラの絵描き歌は本当に見に覚えがありません笑