音楽理論への向き合い方

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どうも池住です。講師をやっていたりこういうブログをやっていてよく質問されることに次のようなものがあります。
「テンションコードとか覚えたらもっと凝った曲が作れるんでしょうか」
「スケールをたくさん覚えるとアドリブが自由にできるようになるんでしょうか」





結論から申し上げますと気のせいです。全然そんなことありません。
じゃあ理論は何の役に立つんじゃい、どしたらええ感じのアドリブソロができるんじゃい、というところ、すなわち音楽理論への向き合い方についてお話します。

音楽理論を勉強するメリット

①コミュニケーションツールとして

一番手っ取り早く勉強の成果を実感できるのはここかと思います。何事も勉強の第一歩は用語を覚えるところからです。これによってバンドの練習などは非常に効率的になります。
「サビの最後のコード、C7からF#7(11)に変えようか」
「ギターソロ、Gのドリアンが合うんじゃない?」
などなど、専門用語を使わなければこういった内容は伝えるのは結構手間がかかるのではないでしょうか。

②音楽を分析するための手段として

なんでも新しいを作るには、既存のものの分析、リバースエンジニアリング的作業が不可欠です(天才の人以外は)。
音楽理論はピタゴラス以来の2500年分の人々の感覚の体系です。いち個人の感覚で2500年分賄えると思うのはやめましょう。

③凝った曲を作ったり、自由なアドリブをするネタとして

最初と言ってることが違うやんけ、とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、もちろんちゃんと勉強すれば作曲やアドリブに活かすことは可能です。スケールやテンションコードそれ自体を覚えてもあまり意味がないと言っているだけです。そのへんを次の項目で。ちなみに、もちろん「知っているか知らないか」だけで使えるものもたくさんあるので、そういうものはすぐに役立つかと思います。

音楽理論への向き合い方

①「合っている、間違っている」ではない

これが一番の弊害だと思うのですが、理論というとすぐに正解不正解で語ろうとする人が出てきます。
理論が説明するのは「どういう音を鳴らせば(西洋的な文化圏で生きている人間のうちの大多数は)どう聞こえる(可能性が高い)」くらいのことで、そこに正解不正解はありません。理論を勉強するというのは、この「どう鳴らせばどう聞こえる」を一つずつラベリングしていく作業に他なりません。強いて言うならば、理論から導かれる聞こえ方と、自分の思い描く聞こえ方が一致していれば正解、でしょうか。
ちなみに、秩序を重んじるクラシックの世界では正解不正解はあったりしますが、それにしたって「(例えば)対位法的に正しい響きはこうなんだな」と理解できれば良い話です。

②音楽理論に縛られるような中途半端な勉強はするな

①にも通じますが、人は中途半端にわかってきた頃に「正解不正解」を言い出すウザい奴になりがちです。深く勉強していくと、意外に何でもアリやん、と思えるようになる日が来ますので、根気強く勉強は続けてください。(終わりが来る日は、ありません)

③自分の感覚は出していい

①にも②にも通じる、というかもはや全部同じことを言っている気がしてきました。理論でうまく説明できないけど自分的にこれはアリ、という感覚は自信を持って出していきましょう。それが個性であり、あなたが曲を作る意味です。




冒頭の問に対する個別具体的な回答

①テンションコード

3和音で作った曲のコードを、あとからテンションコードにすることはできなくはないです。そのキーのそれぞれのダイアトニックコードをテンションコードにするバリエーションは、数で言えば有限なので気合でなんとかなります。ただ、無闇にそうやって良くなるかと言われれば微妙なところなので、次のような視点でテンションコードを使うことをおすすめします。
「コードを弾きながら、高音弦がメロディアスになるように音を付け足して弾いてみたらテンションコードになった」あるいは「ギターと、歌メロが同時を同時にならしたら、たまたまメロの都合で全体としてテンションコードになった」
使いどころはもちろんこれだけではありませんが、テンションコードになる必然性としてはよくあるものかと思います。

②スケール

(モードジャズなんかは少し話が違うので除外するとしても)どこでどのスケールが使われているか、というのは解釈によって結構変わってきます。なので「ここでこのスケールを使うぞ!」という意気込みはホールトーンやディミニッシュなど飛び道具系を除いてあまりうまく行きません。結局ソロもある種のメロディですので、12音の中からどれを選んでどれくらい伸ばすか、という話に帰着します。大切なのは、今まで使っていた音以外も積極的に使ってみることと、その音が気持ち悪かった場合、どれくらいは伸ばしても大丈夫か、次どこに移動すれば落ち着くか、を学ぶことです。

 

わりと厳しく、ゆるくない内容になりましたがいかがでしたでしょうか。めげずに頑張ろう!




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